【十四日目】仲間との合流【出雲→鳥取砂丘→城崎温泉】

 8時過ぎのアラームで目を覚ます。夜中うなされ何度も目を覚ましながらも、11時間以上は寝た計算だ。まだ少しクラクラして気持ち悪い感じもあったが、熱は下がったようだ。昨日買っておいたカップそばにお湯を入れて食べる。脂っこさが気になって半分以上も食べられなかった。まだまだ病魔が体を蝕んでいるのか。リポDプロテインマルチビタミンの錠剤を飲んで朝飯とした。ちなみに旅中は、プロテインの粉1kgとシェイカーとマルチビタミンの錠剤を三種の神器として持ち歩いており、毎日欠かさず摂取することで不足しがちな食事量を補っていた。f:id:KyotoRider:20200217213819j:image

 病み上がりで気力もなかなか出ず、一人ベッドの上、YouTubeで「オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。」(めっちゃおすすめなので見てください)をダラダラ見ていた。

 10時過ぎになってなんとか出発。昨日の気持ち悪い感覚を思い出して緊張しながら走る。頭が回らずかなり無心で走っていたような気がするが色々なことを考えたような気もする。バイクには一日6〜10時間は乗るわけで、バイクに乗っているとヒマな時間は山ほどあるのだ。そんな時は自分の将来のこと、過去のこと、今のこと。哲学的な問いからムフフな妄想まで、どんなことでも気の済むまで考え尽くすことが出来るのだが、どういうわけかバイクから降りると忘れてしまう。星新一の小説で、寝ている間に勉強できるけれども目が覚めると勉強したことを忘れてしまう枕があったが、ちょうどそんな感じだろうか。

 ともかく気づくと4時間弱走っており、鳥取市に到着した。鳥取市の海沿いにはずっと砂丘が続いているのかと思っていたがそういう訳ではなく、ずっと続く砂浜海岸の一部分が砂丘化していた。バイクを停め、駐車場から階段を登る。登り切ると広い砂漠と真っ青な空が目に飛び込んできた。f:id:KyotoRider:20200217220408j:imageよくみると丘の上に人がいて、縮尺から分かって欲しいのだが、近くに行くとかなり高いそびえ立つ壁のようであるのだ。「馬の背」と呼ばれるこの壁を登ると、この上ない絶景が見えた。f:id:KyotoRider:20200217220712j:image説明はいるまい。やはりガツンと心を動かされるのは大自然だ。一人でも、いや、一人の方が空っぽの心に感動を詰め込める。どうでもいい話だが、すぐ近くのお土産屋さんで売っていた長芋のワサビ漬けがめちゃくちゃ美味しかった。試食ばかりで結局何も買わない悪い客である。

 ここからまた2時間半くらいかけて城崎温泉に向かう。大学の部活の同期が待っている。ここからは長々と語ることはないが、自分の居場所がある暖かさをしみじみと感じた。大いに笑って大いに飲んで盛り上がり続けた最高の夜だった。

 

十四日目

走行距離 272km

食事代 2658円

ガソリン代 2113円

宿代 13200円(晩飯込み)

雑費 400円

計 18371円

総走行距離 3476km

【十三日目】コロナ疑惑【山口・萩→出雲】

 朝起きて、昨日の残りの野菜炒めを食べる。食べすぎたのか、少しお腹が張っているような気がした。荷物をくくって出発する。雨は上がっていたが少しまだ雲がかかっていた。

 少し走らせ、海沿いの駐車場で一旦休憩する。日本海は砂浜海岸でも不思議な形をした岩がまじり、水はエメラルドグリーンでとても綺麗だ。なんだか無性にタバコが吸いたくなった。かっこいい男の条件として、バイクとタバコはつきものである。雨が降っていないだけでどこまでもいけるような気がした。今日はたくさん走るぞと意気込んだ。f:id:KyotoRider:20200216110731j:image

 違和感を感じ始めたのはそこから1時間くらい経った、まだ10時すぎ頃だった。バイクの振動がいやに強く感じる。シートから内臓へ突き上げられているような感覚があった。車酔いのような気持ち悪さを覚えた。慌ててバイクを止めて深呼吸するも、30分と走らぬうちに同じ感覚に陥った。幸いなことにこの日の宿はまだ決めていなかった。本当は島根を超えて鳥取まで行く予定だったのだが、島根の半ばでストップ、出雲で一泊することにした。

 少し休めば回復するかと思い、マックで1時間ほど昼寝したのだがダルさは増すばかり、出雲大社にすら行かずにホテルを予約し、すぐにチェックインした。リッチなホテルだった。f:id:KyotoRider:20200216112200j:image

 風呂上がりにフラフラしすぎて倒れそうになったので、これはちゃんと休まなきゃいけないやつだと思った。一人暮らしの体調不良には慣れているので、グリーンダカラ、R-1、リポDを買って、水分補給をたくさんしながらしっかり寝ることに専念した。夜中何度も目覚めて何度もグリーンダカラを飲んだ。しんどすぎた。

【十二日目】雨【福岡→山口・萩】

 6:30に起床、7時には友人の家を出る。雨だった。全ての荷物にカバーを被せて積荷をする。20分くらいかかってしまった。f:id:KyotoRider:20200214191047j:imageレインスーツを着込んで出発した。

 雨は夕方前から強くなる予報だったので、早いうちにゲストハウスに行こうと、最初から高速に逃げる。九州一周の最後の100kmは、福岡都市高速九州自動車道で駆け抜けてしまった。本州との架け橋である関門橋は、心の準備をする間もなく、トンネルを抜けるといきなり現れた。実は本州と九州の間は700mくらいしかなく、雨雲に覆われて景色もほとんど楽しめないまま、気づけば九州を出ていた。

 最初の2時間くらいはなんとか耐えてたものの、だんだん手袋、ネックウォーマーと浸水してきた。こうなるともう寒くて寒くて仕方がない。走行中は体中ガチガチに力を入れて、停止した時はエンジンで手を温めて、ひたすら無表情で山口県日本海側をなぞった。

 この日寄った場所はただ一つ、山口県の絶景スポットとして有名な「角島大橋」だ。エメラルドグリーンの綺麗な海に、真っ直ぐ長い橋が続いている。混むときは、島からの復路が車で埋め尽くされるほどに渋滞するときもあるようなのだが、このときはほぼ全く車がいなかった。曇り空でも海が綺麗に見えたのだから、晴れの時は本当に比べ物にならないくらいに綺麗なのだろう。是非「角島大橋」で検索してみて欲しい。ちなみに、雨の日は写真を撮るのが大変な苦痛である。ビショビショの手袋を外し、防水カバーの付いたタンクバックからケータイを取り出して写真を撮る。その後に再びケータイをしまい防水カバーをつけ、濡れて摩擦係数の高くなった手袋をつけ直す。そんな苦労をして撮った写真がこちらである。f:id:KyotoRider:20200214201543j:image悲しい。

 もうあまり走るのもしんどかったので、ここから50kmほど行ったところにある萩市のゲストハウスに泊まることにした。14時すぎに着いたのだが、チェックインは16時からだったので、マックで時間を潰す。ひたすら採点をして3000円分くらい稼いだ。服が濡れていてひたすら寒かった。

 晩ご飯は、近くの業務スーパーでキャベツ、もやし、豚バラ肉を買って野菜炒めを作った。部活の食事管理グループでひたすら野菜を食べてくださいと言われていたのだ。ゲストハウスには40代くらいのおばちゃん二人組になんかめちゃくちゃ褒められた。「あなた絶対長男でしょう。しっかりしてるものねぇ〜」なんて言われた。実はこの旅中に、大人びてるとかしっかりしているとか言われるのは3回目だ。ふざけた髪色をしていても滲み出るしっかりとした内面は隠せないようだ。f:id:KyotoRider:20200214213907j:image

 

十二日目

走行距離 251km

食事代 1225円

ガソリン代 965円

宿代 2900円

雑費 2880円(高速代)

計 7970円

総走行距離 2964km

 

【十一日目】ゆっくりトコトコ【長崎→佐賀→福岡】

 昨晩はいい気分で酔えたので、気持ちよく寝れた。朝6時過ぎには自然と目を覚ます。ゲストハウス「カサノダ」は朝食のトーストが食べ放題だったので、2枚焼いてブルーベリージャムを塗って食べる。あまりに美味しかったので2枚おかわりして同じ食べ方をした。コーヒーには久々にミルクと砂糖を入れた。清々しい朝だった。

 長崎出身の友人宅前でセルフィーを撮ったりしながら北上していく。最初の目的地は伊万里にある「古伊万里酒造」だ。長崎に住む友人にオススメされた店で、「鍋島」や「前(さき)」などという日本酒がうまいという。途中に寄った道の駅「東そのぎ」でスズキのイントルーダーに乗ったおっちゃんと会話をする。聞くと佐賀の唐津方面に行くということで、方向が同じだったので一緒に行くことにした。初対面の人とペアツーリング。しかも相当のベテランだろう。僕に前を走らせてくれたのだが、一挙一動が見られているような気がして緊張した。とりあえず滑らかな発進と、路側帯から1.5m幅キープをキチッとやろうとした。誰かと一緒に走ると、すり抜けをしなくなることもあって、特にのんびりと走ることになる。長崎から佐賀の、森や田畑を抜け、たまに海が見える田舎道をゆっくり走る。こんな優雅なことがあるだろうか。このおっちゃんはいつもこんなことをしているのか。最高の隠居生活ではないか。f:id:KyotoRider:20200212223115j:image残念ながら「古伊万里酒造」は定休日だった。おっちゃんがジュースを奢ってくれた。

 おっちゃんと別れて呼子に向かう。途中までは快走路だったが、半島の先端に近づくにつれ車がどんどん増えてきた。目当ては「河太郎」でイカを食べることだったのだが、2時間待ちだったので断念。やはり人気スポットは朝早く行くよりほかにないようだ。仕方ないので近くの店で食べることにしたのだが、こちらも1時間近く待ってようやくイカの活き造りにありつくことができた。刺身を食べると、ゲソと頭の部分を天ぷらにしてくれる。甘味があって新鮮なイカを思う存分楽しめたと言えるが、3080円もした。しかもカード不可で現金払い。これだけあればちょっと高めのゲストハウスか、個室に泊まれたなぁとか思っちゃったりもして、でもおいしかった!おいしかった!と必死に頭の中を塗り替えた。f:id:KyotoRider:20200212225330j:image

 次なる目的地は「またいちの塩製塩所 工房とったん」。2/2に泊まったゲストハウスの人にオススメされた場所で、塩プリンが絶品らしい。塩製塩所とか頭痛が痛いわとか思いながら走り、2時間弱で到着した。海沿いの駐車場に車がズラーーっと並んでいてテン下げ。工房に向かうと、販売所から入り口まで、50m以上も人が並んでいてもっとテン下げ。極めつけは、列のすぐ後ろが大学生の男女8人組くらいだったことで、陰キャの僕は必死に虚勢を張ろうとして黒の混じった茶金髪を手でファサファサしていた。

 瓶に入ったプリンに、カラメルソースと塩をかけて食べる。目前には透明な海が広がる。f:id:KyotoRider:20200212225108j:imageめちゃくちゃうまかった。今までの人生で、スイカに塩を振って食べると甘くなるという意味が理解できたことがなかったのだが、ようやくそれがわかった。塩をかけると甘さが際立つ。そのままで食べるだけでも美味しいプリンだったが、まさにおいしさひとしおといった感じだった。

 あまりに海岸が綺麗だったので、プリンの瓶に貝殻や砂や海水やらを入れて持ち帰ることにした。貝殻を探している時、「何してるんですか?」って聞かれたら、「海を持ち帰りたくって(金髪ファッサー)」ってやりたいなって思ってた。下宿のテレビ台に飾る予定。f:id:KyotoRider:20200212225527j:image

 そこから東へ向かい、九大に通っている友達の家に泊めてもらった。そいつは色んな意味で「大人」になっていて少し寂しかった。豚骨ラーメン大盛りが370円で食べられて、本当に九州北部では豚骨ラーメンが大衆食なのだなと思った。f:id:KyotoRider:20200212225804j:imagewiiスマブラをしながら宅飲みをして、アロマを焚きジャズを聴きながら眠りに入った。

 

十一日目

走行距離 250km

食事代 5730円

ガソリン代 1252円

宿代 0円

雑費 0円

計 6982円

総走行距離 2713km

【十日目】雪の阿蘇山【阿蘇山→雲仙・普賢→長崎】

 「阿蘇リトルアジア」では、朝食にパン一枚と紅茶がサービスで付いてきた。トースターにマーガリンを塗って優雅な気分で朝を過ごした。このゲストハウスは阿蘇山の南の麓にあり、表に出るとそびえ立つ阿蘇山が見られるはずだったのだが、あいにくの空模様であった。f:id:KyotoRider:20200211130508j:image

 そのまま阿蘇パノラマラインを通って登山していく。ところどころ雪に覆われた山肌が見えてきたところで、少し雪もパラついてきた。f:id:KyotoRider:20200211135128j:imageさらにいくと、路肩は全て雪に覆われ、周りの木も真っ白にコーティングされていた。おっかなびっくり走る車の後ろを、さらにおっかなびっくりゆっくり走った。f:id:KyotoRider:20200211155806j:image

 行けるところまで上の方まで行った。前回【六日目】バイクは孤独な乗り物【別府→阿蘇山→宮崎】 - KyotoRiderの日記と同じ場所で写真を撮ったが、全くの別世界であった。火山灰も雪と混じって硬く地面に張り付いていた。f:id:KyotoRider:20200211160224j:image寒すぎて写真は撮れなかったが、木ひとつなく広がる大草原一面に雪が積もっており、スノボがしたくなった。

 有明フェリーを目指し、熊本方面へ下っていく。f:id:KyotoRider:20200211160742j:image途中、おっちゃんとおばちゃんが牛に餌やりをしていた。ゆっくりゆっくり草を食べる牛も可愛らしいのだが、もっと可愛いのはカラスだった。牛の離れた隙を見計らってツンツンと草を食べ、牛が戻ってくると慌てて逃げ出し、様子を伺う。そんな姿がいじらしかった。昼食は、熊本名物の「あか牛丼」を「いまきん食堂」で食べたかったのだが、行くと入り口を溢れて店の周りにまで多くの順番待ちの人がいて、仕方なく断念した。開店前から整理券を配っているらしく、早くに行ってそれをもらうべきだった。

 熊本の北部から有明フェリーに乗って、雲仙・普賢岳のある島原に向かう。海の上で県境を越え、長崎県に入った。雲仙・普賢岳には雲仙仁田峠循環道路があり、任意で100円程度の環境保全金を支払う。一方通行の絶景ロードであり、対向車の存在を気にせず、気持ちよく峠を攻めることができた。ここを抜けても展望のいい道はまだ続く。途中でバイクを停めて写真を撮る。『ツーリングマップル』の表紙を意識してカッコつけて撮った。f:id:KyotoRider:20200211162305j:image

 そこから無心で2時間ほど走り、長崎市内のゲストハウス「カサノダ」に到着。一泊2610円朝食付きと大変安いにも関わらず、内部はとてもオシャレで綺麗だった。特に、マグカップの配置はぜひ真似したいと思った。f:id:KyotoRider:20200211175735j:image

 シャワーを浴びてからゲストハウスを出て、まずは腹ごしらえと思い、適当に調べて見つかった店に入る。「四海楼」めちゃくちゃでかい。f:id:KyotoRider:20200211192019j:imageチャンポン発祥の店らしい。太麺、小さく丁寧に切られた具材、味わい深いスープ、上に乗った錦糸卵。文句なしにうまいチャンポンを食わせてもらった。唯一の不満は、一杯で1100円もしたことだ。長崎出身の友人によると、四海楼は観光地化しているため割高らしい。600円〜でお腹いっぱい食べられる店もあるようで、もったいないことをしたと思った。f:id:KyotoRider:20200211192712j:image

 そのあとはグラバー園の物凄い坂道を登り夜景を見る。夜の海と夜景が両方見られてとても綺麗だった。f:id:KyotoRider:20200211230124j:imageそこから長崎の夜の街を走り、平和公園に向かった。落ち着いた雰囲気の照明の中に、大きな平和祈念像が立っていた。正面にはまだ新しい花束がいくつも添えられていて、両脇の小さな小屋の中にはたくさんの折り鶴が吊られていた。なんだか誠に勝手ながら、原爆犠牲者の人たちも少しは浮かばれるだろうと思った。

 そのあとゲストハウスのすぐ隣の居酒屋で軽く飲んだ。生ビールが370円だったのに釣られてしまった。結局、生ビールと日本酒ときびなの刺身をいただき、2300円くらいだった。f:id:KyotoRider:20200211231845j:imageそのあとは、たまたま近くでバイトしていた長崎大学の友人とわずかな時間であったが会って喋った。久々に元々の知り合いと話せたので嬉しかった。

 

十日目

走行距離 232km

食事代 4023円

ガソリン代 2400円

宿代 2610円

雑費 2460円

計 11493円

総走行距離 2463km

【九日目】初めての立ちゴケ【鹿児島→熊本→阿蘇山】

 『リアル』を読破するまでゲストハウスを出られなかったので、出発は9:30になった。観光スポットや絶景ロードを調べたりするのが面倒だったので、ただひたすらR3を北上することにした。無料区間がちょくちょくある南九州自動車道を利用しながら、薩摩川内市を抜け阿久根市に入ると、綺麗な海が見えてきた。

 東シナ海を横目に見ながらひた走る。体感だが、南九州にはハーレー乗りがかなり多いような気がする。この時はハーレー乗り3人組と一緒になり、しばし4人隊列を楽しんだ。マスツーリングはまだしたことがないので、いつかしてみたい。

 しばらく行って、R389に折れ、長島や天草方面に寄り道する。黒之瀬戸公園に行き、黒之瀬戸の急潮流と渦潮を見に行った。渦潮は残念ながら見られなかったが、水が澄んでいてとても綺麗だった。f:id:KyotoRider:20200210202048j:imageまた、公園にはなぜか猫がたくさんいたので、戯れた。f:id:KyotoRider:20200210202214j:imageかわゆす。

 ひたすらこんな道f:id:KyotoRider:20200210202323j:imageを北上し、途中牡蠣小屋に寄ったり丸亀製麺に寄ったりもしながら、3時間くらい走ってやっと熊本に着いた。熊本出身の友人の家の前に行き、ストーカーのように、「いま君の家の前だよ、デュフ」とかなんとかLINEして、さあ熊本城に行こうとUターンした時に立ちゴケしてしまった。タンクバックとハンドルが干渉してしまいうまく曲がれなかったのだ。倒してたまるものかと踏ん張る私の右足は、昨日のスクワットで筋肉痛だった。それでも傷をつけてたまるものかと倒れる時に足を挟んで、なんとかミラーの端が少し傷ついた程度で済んだ。バイクの初めての横たわる姿は、なんだか愛らしく感じられた。f:id:KyotoRider:20200210202826j:image

 さて、もっぱら「トランスフォーム中」と噂である熊本城を見たり、先の友人の母校を訪れたりしたあと、ゲストハウスである「阿蘇リトルアジア」に向かった。阿蘇の南側の麓にあり、熊本市街からは1時間弱で着く。とはいえ、時刻は18時を回っていたので、真っ暗で極寒の田舎道は相当辛かった。

 宿は家族経営のようで、子供たちがお菓子作りをしていた。賑やかで暖かい雰囲気にとても和んだ。ベッドもふかふかで気持ちがよく、9時過ぎに寝てしまった。

 

九日目

走行距離 318km

食事代 1730円

ガソリン代 1096円

宿代 1680円

雑費 0円

計 4506円

総走行距離 2231km

【八日目】鹿児島二日目【桜島】

 目覚ましはあえてかけず、8時ごろに自然に目が覚めた。桜島しか行く予定のところはなく、北上しても良かったのだが、適当な宿が見つからなかったので、もう一泊分今のゲストハウスを予約した。大きい荷物を置いて行けるのは結構嬉しかった。ゲストハウスの共同スペースに置いてある漫画(井上雄彦の『リアル』)を読んだりなんかして、10時過ぎに出発した。

 ゲストハウスのすぐ近くからフェリーが出ている。750cc未満の二輪は片道600円だった。15分おきに出ているので、特に時間を調べずに行っても待たずに乗れる。思った以上に多くの車が乗り、甲板は二階まで一杯になった。フェリーは四階建てで四階が展望デッキとなっているのだが、東から登る太陽と被ってしまい、桜島は見づらかった。

 桜島は一周訳36kmの小さな島(正確には、1914年の噴火で半島になった)である。バイクなら1時間もかからずに一周できてしまう。だから、いつもよりは一つ一つの観光スポットでしっかり時間を使った。f:id:KyotoRider:20200209210610j:image埋没鳥居。火山灰で鳥居の2/3近くが埋まってしまったというのだから恐ろしい。f:id:KyotoRider:20200209210716j:image鹿児島弁のおばちゃんがすごく親切にしてくれて、タダで色々なものを食わせてくれた上に飴をたくさんもらった。f:id:KyotoRider:20200209210810j:image中央に書いてある詩がなんとなく気に入った。f:id:KyotoRider:20200209211228j:image溶岩をたくさん見た。他に、足湯に入ったり長渕剛オールナイトコンサート記念像を見たりした。

 桜島だけでは少し物足りず、東の垂水の方にも行った。そちらでは、気持ちの良いワインディングと、海+桜島という景色を楽しめた。こちらにも埋没鳥居があり、これは鳥居の左右がずれてしまっているのになんとか支え合っていることから、「落ちない鳥居」として受験生やなんかに人気らしい。f:id:KyotoRider:20200210084455j:imagef:id:KyotoRider:20200209211703j:imageそこからの景色もなかなか良かった。帰りのフェリーからは桜島がとても綺麗に見えた。f:id:KyotoRider:20200209211841j:image

 宿に戻り一息ついた後、4kmほど離れたところにあるエニタイムフィットネス与次郎店に行った。エニタイムフィットネスはジムを全国展開しており、加入していればどの店舗でも筋トレができる。ここへはランニングで行ったのだが、運動不足の体には結構こたえた。筋トレも旅の間は出来ていなかったので、明日は筋肉痛がひどいだろうと思った。

 この日は遅くまで『リアル』を読み、11時過ぎに寝落ちしてしまった。

 

八日目

走行距離 141km

食事代 1180円

ガソリン代 1396円

宿代 2600円

雑費 1500円

計 6676円

総走行距離 1913km