【七日目】【宮崎→鹿児島】

 寒い。目が覚めるとまだ午前3時だった。すぐそこから波の音が聞こえてくる。昨晩よりもいくらか波が強くなったようだ。高校3年間で物理を学び、京大の二次試験で地理を受験するくらいには地理を学んでいた私は、「海は比熱が高いので、夏は温まりにくく、冬は冷めにくい」と知っていた。しかしそれは知識であり、知識でしかなかった。さみぃもんはさみぃ。学問ばかりに傾倒し、象牙の塔に篭ってしまう危険を教えてくれた宮崎の海に圧倒的感謝。24時間営業のマクドナルドにも圧倒的感謝。(ただ正直、冬の海辺で野宿をやってのけたことによる達成感は半端なかった。ある程度自分を追い込むのも大切かも。)f:id:KyotoRider:20200208105122j:image

 マックで採点バイトをしながら8時くらいまで過ごして外に出ると、雨が降っていた。バイクの天敵である。慌ててコンビニでゴミ袋を買い荷物を入れる。なんとか濡れずに済みそう

だ。f:id:KyotoRider:20200208154601j:image

 宮崎総合運動公園で巨人のキャンプが行われていたので立ち寄る。巨人の選手は陽岱鋼くらいしか知らず、お目当ては中学の同級生だった。地元からこんなに離れたところで旧友と出会うなぞ、これまた喜ばしからずやなどと思っていた。出会った第一声が「お前金髪に染めたのきっっっっっも!」だった。こんなやつに会うんじゃなかったと思った。

 雨はどんどん強くなりそうなので、特にどこにもよらず、宮崎から鹿児島まで直行することにした。手袋は雨用のものがなかったのでものすごく冷たかった。信号待ちのたびに愛車のエンジンを触って温もりを得ていた。マフラーは触ると火傷するほどに熱くなるが、エンジンはおそらく40度から50度くらいのちょうどいい温かさであるのだ。3時間ほど走らせ、1時過ぎには鹿児島のゲストハウス「GREEN GUEST HOUSE」に到着した。

 お昼ごはんはゲストハウスにいた男性二人に同行して丸亀製麺に行った。片方は、自転車で日本一周中でもう1年以上になるという。京大前の、百万遍の交差点のど真ん中で、こたつに入って鍋をして逮捕された京大生と友人であった。

 夜は、鹿児島中央駅前にある屋台村という飲み屋街に一人くり出した。駅前の一画に、屋台形式の居酒屋が20軒以上並んでいる。f:id:KyotoRider:20200208160217j:imageパッと見で雰囲気の良さそうな店に入る。中には、「地元のおばちゃん」「若い男女」「出張で来ていたお兄さん」「待ち合わせ中のお兄さん」がいた。30分ほど喋ると、そのうちの「出張で来ていたお兄さん」だけが残り、意気投合して仲良くなった。2軒目に行きたい居酒屋の話をしていると、なんとそこの会計を払ってくれて、そのまま連れて行ってくれることになった。国立大理系の院卒であり、高校時代の同期と喋っているような感覚でいろいろなことを喋れた。1軒目から合わせると5時間近く飲み、締めにラーメンを食べて別れた。いつかまた、必ず一緒に飲もうと約束をした。

 

七日目 

走行距離 152km

食事代 1960円

ガソリン代 1200円

宿代 3000円

雑費 372円(ゴミ袋)

計 6532円

総走行距離 1772km